青臭い衝動と圧倒的才能への嫉妬。さくら荘のペットな彼女 感想

つーか、2クールなのかよっ!!
てっきり12話が最終回とばかり思ってた…
まだ終わってないが、個人的に今期のアニメで一番グッときた、「さくら荘のペットな彼女」の感想なんぞを書き連ねてみたいと思う。タイトルは「さくら荘」のテーマになっていると思われる部分を書いただけで、ブログの内容とは関係無いです。今回はストーリー等についてあれこれ語るのではなく、「どうして自分はブログ記事を書こうと思うくらいにこのアニメにハマっているのか」を考えてみるっていう趣旨で進めていきます。

さて、さくら荘の何が良かったか、何に惹かれたかということをちょっと考えてみたんだが、その一番の答えは「演出の巧さ」にあると思う。

例えば第4話。ましろが漫画を買いている時の「真剣な目」の表現に惹かれた。いつもはぼんやりとした目をしているましろが、モニタを食い入る様に見つめて、自分の世界に没頭している。目を見開き、その瞳にはモニタの映像が写っている。あの真剣な表情というか、完全に意識が創作に向いていて、現実世界の時間とかもろもろのことなんてどうでもよくなっている、そういう状態がうまく表現されているなぁと。4話の時点では、あの「真剣な目」が、やりたいことに邁進するましろと、やりたいことがぼんやりしている主人公の間に壁を作っていると思う。自分も曲を作っていたり、録音、ミキシング、マスタリングなんかをしていると、気がついたら4,5時間経過していた、なんてことがわりとあるので、「作る側の視点」を持っている身としては、「ましろの真剣な目」の表現は見ているだけでなんだか気持ちがいい。自分もああいう目になっているといいなあ。

そして4話で「うおおおおっ!!」と思わず唸った、ましろが漫画の新人賞に落ちたという知らせを聞いた時の主人公の表情。ましろが「落ちたわ」といった直後、主人公は引きつったような笑い(というとちょっとおおげさかもしれないが)を浮かべており、そのカットは時間が一瞬止まったかのような妙な長さがある。視聴者はそれを一目見ただけで、主人公がある種の「安堵」というか、「ましろが新人賞に落ちて良かった」という気持ちを持っていたということを理解できる。圧倒的な絵の才能を持っていたましろが失敗をしたことに安心してしまったことを1カットだけで、それも強烈に伝えることができたあの表現には、視聴者へ「気づく快感」も与える。言葉ではなく、あくまでも絵だけを使って直感的に、感覚的に主人公の心情を視聴者へ伝える。だからこそ、自分は初見で「主人公がましろの失敗に安堵している」と気づいた瞬間に、思わず唸ったのだ。

8話のラストシーンも演出が見事だ。主人公がネットで応募したゲームの企画書が書類選考に合格し、プレゼンに行ったものの、けちょんけちょんにされて主人公はヘコんでいた。でもその悔しさをどうにかするためには、「立ち止まってるヒマなんてないんだ」ってことに気づいて、いろいろあって忍び込んでいた夜の学校から走って逃げ出すときの映像と音楽の高揚感が半端ない。夜空には花火大会か何かで打ち上げ花火がドカンドカンやってるし、さくら荘の面々はめっちゃ楽しそうに坂を駆け下りてるし、バックにはED曲かかってるし。ED曲の期待をうまく煽ってくるイントロと、疾走感のある曲調で、やっぱり「うおおおおっ、やべえええっ!!」ってなる。8話にかぎらず、ED曲って、「次も見たい」っていう感覚を演出する上ですごく重要なんですね、いまさらながら。
あと、4話ごとに大きく盛り上がるポイントがあるのも視聴者を飽きさせない工夫なんだろうか。

こういう演出の良さも相まって、くよくよ悩んだり、衝動が爆発したりっていう緩急のつけ方も、青春の’’青’’臭さが出ていていいなあと思う。なんていうか、齢22にして早くも失ったものに気付かされたような…
あと、さくら荘を見ていて、改めて感じたこともある。日常生活をつまらないと言うことは、「私はつまらない人間です」と宣言しているのと同じだ。何も起こらないのはあなたが「待っている」からだ。日常において、潰す「ヒマ」なんてないし、退屈を感じる余裕もない。何かに没頭している人の一部が「何者か」になり、その他の人も概ね楽しく生きられるだろう。だが、毎日を「退屈に」過ごしてきた人の人生は、退廃的なものになるだろう(人の足を引っ張るのだけは勘弁してほしいよ、ホントに)。

それに、丁寧な心理描写のあるアニメが個人的には凄くツボだ。仁と美咲のすれ違い方とか5,6話の青山さんとか、10話でリタの感情が爆発するあたりとか。だから、「とある」シリーズもアニメのレールガンだけ好きだったりする。

ということで、演出の巧さと心理描写の丁寧さ、やりたいことに邁進している人たちのストーリーっていうのが良い感じに自分の心を捉えたのだろう。

まあ、この記事を通じて何が言いたかったのかというと、「青山七海はすごく可愛い」ってことでしょうかね? もうそれだけです、はい。