iPhoneの大型化が歓迎される真の理由

iPhone6が発売してもう3ヶ月が過ぎようとしている。販売は好調で、Androidのシェアを奪いつつあるようだ。

アップルのシェア拡大 - 8〜10月期、世界9ヶ国のスマートフォン販売台数(Kantar Worldpanel調査)
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201412051548.html

iPhone 6」効果でアップルのシェア拡大
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42381

iPhone6iPhone史上最高レベルの売上を更新するのは確実であろう。しかし、ガクッとシェアを落としている国がある。それは日本だ。記事ではシェア低下の原因は「iPhone5sが売れすぎたため」とされているが、これは正しくないと思う。今やスマホは成熟産業であり、今になってAndroidが爆発的に普及したとも考えにくい。これほどまでにシェアが落ちたのは、やはり日本市場がiPhoneに失望したからではないだろうか。

では、なぜ海外市場でiPhoneは伸びたのに、日本市場では大きくシェアを落としたのだろうか。よくある答えは、「日本人は手が小さいから」だ。本体の大きさでAndroidとの差がなくなったため、iPhoneの優位性が無くなってしまった、というのはたしかにありそうな話である。これはハズレではないが正解でもない。

真の答えは、「キーボードの打ちやすさ」である。

私は日本人なので、テンキーのフリック入力を使っている。私が現在使用しているiPhone5sではとても快適に打てるのだが、iPhone6ではどう考えても片手打ちがしづらい。本体が野暮ったく、邪魔である。持ちやすさを犠牲にしても、表示領域の広さを優先するのは正直理解できないと思っていた。
しかし、その考えは「グローバルな視点で見ると」間違いであった。iPhoneQWERTYキーボードを使って文字入力をするとよく分かる。4インチのiPhoneは、QWERTY入力をするには小さすぎるのである。両手の親指を使ってガシガシ入力をしようとすると、ミスタイプが多くなる。親指の大きさに対してボタンが小さい。両方の入力形式を比較してみると、このようになる。

QWERTYのボタンの大きさは、テンキーの半分ほどである。Whats Appのような、文字入力によるコミュニケーションが主流になってくると、文字の打ちづらさは致命的である。スティーブ・ジョブズiPhoneを発明した時、文字入力はあくまでもサブ的な扱いで、がっつり文字を打つ場合はMaciPadを使うという使い分けを考えていたのだろう。しかし、現代のSNSでは1行の短文を頻繁にやりとりする。そうなるとMacでもiPadでもなく、スマホがメインの文字入力端末となる。メインの入力端末として使うには、4インチの画面は小さすぎて使いにくい。そのためiPhoneの大型化は必然であったとも言える。

海外の視点で見れば
Android→画面が大きく、文字入力がしやすいがOSは微妙
iOS→OSの出来も本体もいい感じだが画面が小さくて文字入力がしづらい
という感じだったところ、iPhoneの画面が大きくなって、液晶サイズはAndroidと遜色なくなった。そうしたらAndroidからiPhoneへユーザーが流れるのも至極当然と言えるだろう。

以下余談。
それでも日本ではテンキーのフリック入力だから、4インチのほうが好ましい。
今iPhone6sで検索をすると、4インチモデルも追加して3モデル展開で販売、みたいな情報も流れている。正直、4インチのiPhoneが最新の6sとしてラインナップに並ぶことは想像しづらい。あるとしても、「iPhone Classic」として1世代前のチップセットが搭載される、とかではないだろうか。世代遅れでも2年おきの更新でもいいから、アップデートは続けてもらいたいところである。そうすれば私も廉価なAndroid端末に手を出さずに、iPhoneを使い続けるだろう。4インチサイズのスマホはアップルの独壇場だから、今後も販売をし続けてほしい。