コンセプトカバーアルバム「Nippon Trad And Contemporary」

ストリーミングはNoteから。
https://note.mu/sryov

DLは下記リンクからどうぞ。FLACAACの2バージョンがあるが、「FLACって何?」な人はAACを落としてください。
https://mega.co.nz/#F!V1wHHS7I!AWUOV0fi8CJ-GOQsfIgepA

このアルバムは、日本の昔と今の代表的な曲を、大きくアレンジを変えてカバーする、というコンセプトで作られている。
トラッドに当たるのが日本民謡5曲で、残りのボカロ5曲がコンテンポラリーに当たる曲たちだ。

はじめに宣言しておくが、私はジャンルとしてのボーカロイドが嫌いだ。曲のリズムはやたら早いけど単調でスピード感が無いし、とにかくたくさん音を詰め込めばいいと思っていやがる。劣化J-POP、アニソンでしか無いと思っているからだ。JーPOPとアニソンが近親相姦して、産まれた子同士がまた近親相姦してるような、そういうジャンルだと思っている。だから、私の中では優先度が著しく低いジャンルだった。世界の民族音楽に手を出す方が遥かに有意義だ。今回のカバーを期に、ボカロの世界に入っていけるかとも思っていたが、やっぱり無理でした。
そんな私が何故ボカロ楽曲を取り上げるのか。
まず、アレンジの幅を広げる上で、似たようなアレンジの曲たちを取り扱うのは面白い試みだと思った。結局、カバーした結果、アレンジは単調だが、(少なくとも今回取り上げた曲は)曲ごとにちゃんと個性があるんだってことはよく理解できた。
まあ、ボカロ嫌いの私がアレンジしているのだから、ボカロファンには全く受けないだろう。でも、ボカロの世界の外にはこれだけたくさんの個性的な響きの音楽があるってことは知ってほしいと思う。
もう一つの理由としては、好きなJ-POPをカバーしようとしても、原曲の焼きまわしというか、劣化コピーにしかならないような気がして、意義を感じられなかったというのもある。私が作るまでもなく、原曲を愛でていればそれでいい。

日本民謡を取り上げた理由として、何故かはよくわからないけど、日本人って、自国の民謡を取り上げたがらないっていうのがある。いや、外国のことはよく知らないけど。ブルースが今でも愛されてるのとは大きな違いだなって感じている。
せいぜい中島美嘉が朧月夜をカバーしてるくらいで、他の曲をカバーしてるミュージシャンは存じ上げません。
そんなわけで、今回ボカロとの良い対比になると思って日本民謡を取り上げました。世界の民族音楽を調べてたこともあったし。

あと、大半の人にはどうでもいいことかもしれないが、音にもこだわっているので、予算15万以上の環境でも十分に楽しめます。というか、いい環境で聴いてくれると曲も喜びます。ソースは俺。私の愛用しているRS-1だと、音圧を上げまくった曲は聞いてて辛いんだよね。iPhoneに付属のイヤホンを挿して聴く場合は音圧高いほうが良さ気に聞こえるけど。

ってなわけで楽曲解説いってみよー
さくらさくら
言わずと知れた日本の至宝。メロディの動きと歌詞の発音が非常に美しくマッチしている。この曲のメロディはヨナ抜き短音階と呼ばれる、日本固有の音階を使用しているので、より日本的な感じがする。現代のゲームPVをイメージして作り始めたのはいいが、なんかよくわからない感じです。イントロで、ギターの「箏奏法」が聴けます。

朧月夜
中島美嘉の綺麗なアレンジがあったので、パンクロックです。Rancidな感じです。ボカロでダーティにするのは困難ですね… 日本だと、ロックもパンクも一緒にされがちですが、全くの別物です。オルタナティブロックも、割と違います。ルーツが異なります。

通りゃんせ
有名なわらべうた。子供の歌だね。昔はこんな怖い歌歌ってたのかよ、精神がおかしくなりそうだよ!アレンジの最後は…神隠しにでもあったんですかね?って感じです。 アレンジはピコピコ系です。ピコピコ音は、この曲のそこはかとない恐ろしさ、怖さを助長してくれている気がします。ボーカルをもっとケロらせたかったなあ。

荒城の月
タンゴアレンジのつもりでしたが、なんだか雑になってしまいました。曲調からしてタンゴしかないな~とか思ってましたが、私の研究不足でした。イマイチツメが甘いです。

もみじ
スムーズジャズ風です。ジョージ・ベンソンとか、ラリー・カールトンのRoom335な感じをイメージしてます。メロディは、歌い継がれているだけあって、和風な響きを感じさせます。アドリブではコードを改変して、よりジャズっぽい雰囲気にしてます。クロマチックスケールも何とか使えてます。こういう感じで1,2分アドリブを続けられる人たちって、ホントに凄いですね。

千本桜
言わずと知れた「国歌」、でしたっけ?CMでも使われてますね。ボカロファンに媚びる際に使われる曲の筆頭。これはエリック・クラプトン風ロックアレンジ、のつもりだった。ソロで悪ふざけしてます。異国情緒漂うような、和風なような、不思議な曲調です。最初は日本古来のものじゃない要素(断頭台とか聖者とか)が入ってたので、いっそのこと歌詞を改変してやろうか、とも思ったのですが、諦めました。メロディの改変に留まってます、あとソロのコード進行もか。サビの「よ〜るに〜まぎ〜れ〜」のところとか、すごく和風になったでしょ!? Mixは何回もやり直したけど、未だに納得できてない。

メルト
ボカロ最初期の名曲。原曲はSupercellさんお得意の、爽やかで疾走感のあるアレンジだったので、大人っぽくしっとりとボサノバでいきました。せっかくルカさんが歌ってるわけだし。「溶けてしまいそう」をもっと艶やかに歌わせられれば尚良かった。本当はもっとスローな方が良かったかなと思ってたり。原曲コードでボサノバはキツイっす。演奏技術的な意味で。

裏表ラバーズ
確か私が2番目に聴いたボカロ曲が、「ワールドエンドダンスホール」だった気がする。この曲は1度聴いて、ああ、もうヒップホップしかないな、って確信した曲だったりします。ヒップホップはJay-Zくらいしか聴かないけど、いい感じにできてます。銃声と、「ああああ」のキメが良いです、はい。

みくみくにしてあげる
ボカロといえば初音ミク、ミクといえばこの曲でしょう。ありきたりですが、和製ロックなアレンジです。日本のロックって、J-POPをバンドアレンジしただけみたいな、なんとも言えない虚しさがあるんですよね。ちゃんとルーツにブルースがないから、ああなってしまうのでしょう。この曲はアレンジはフツーですが、ある意味一番改変してます。だって、歌詞に2番があるんですよ!しかもルカさんが「るかるかにしてあげる (・ω<)」って歌ってるんですよ!可愛いじゃないですか!! …ミクちゃんだけじゃなくて、ちゃんとルカさんのことも見てあげてください、っていう私個人の願いでもあります。

パンダヒーロー
多分初見で一番ビビるアレンジはこれじゃないかなと。盆踊り風アレンジです、はい。よよいのよい!ってな感じですよ。パンダの被り物した大男が太鼓を叩いて、その周りをボカロの皆が楽しそうに踊ってる光景が目に浮かびます。原曲にコードという概念が皆無だったので、これもありかなって。ハチさんは日本の旋律に明るいんですね。これが私の初めて聞いたボカロ曲です。ボカロに抵抗を持ってた私に「あれ、意外と悪くない…?」と思わせた曲です。